拙者放浪記 刀水橋〜熊谷市街編
〜〜〜拙者放浪記 刀水橋〜熊谷市街編
実際よく覚えていない。
刀水橋を渡って熊谷市に入ったわけですが・・・どんな場所だったかなぁ・・・。
地図を眺めながらこれを書いているんですが、どうやら自分はそのまま熊谷市街に入っていった模様です。
あ・・・思い出しました。
そのときのことでした。
市街の賑わいをほけーーーっと眺めながら走っていたんですが突然・・・
ギャリギャリギャリギャリっっ!
って異音が鳴り始めたんです。
・・・やや、心なしか自転車の動きに違和感があるような・・・というかなんだろうこのデジャヴは。
この感覚は正しくチャリがトラブったときの感覚!
そうか!この異音は自分の自転車か!
・・・と、ブレーキを握りました。
サドルから降りて車体を観察・・・
とくに壊れてるような部分はない―――ように見える。
あれぇ・・・?
後輪部分を持ち上げてペダルを回してみても、
シャーーーー
っと後輪が軽快な音をたてるだけ。
壊れてないじゃないか。
直ったのかな。
サドルに乗って道を急ぐ。
ギャリギャリギャリっっ!
直ってない。
なんだろう、もう一度降りて車体を見まわす。
・・・・・・ぬ。
ギアの泥除けがギア本体に接触してるじゃないか。
あの音はこれかーー。
その部分を触ってみる。
それほど熱くない。
どうやれば元に戻るのかな・・・。
その部分を弄っていると・・・気づく。
この自転車の泥除けは、過去に自転車屋さんの手違いで別のちっちゃい泥除けを付けられてしまっていた。
サイズが合わないから針金でその部分を結わって固定してたんだけど・・・それが、無い。
無くなってる。
あの自転車屋め・・・。
あのときはまーーいいやー、って思ってそのまま文句も付けず持って帰ったんだけど・・・
何だかちょっと今になって腹が立つ。
オヤジ「知らないよ。うち知らないよ」
っと、自転車屋のオヤジがしらばくれてた姿が脳裏にフラッシュバックする。
おくさん「けど・・・うちじゃこんなことししないよーー。最初からだったんじゃない?」
っと、そのおくさんが割って入ってオヤジを弁護していたっけ、そーいや。
やつらはプロ失格だ。
だから許せん感じだ。
けどどうでも良い。
取り合えずこの状況をなんとかしなくては・・・。
んーー。
くっ付けるものがあれば問題無いな。
ゴム紐とか・・・なんかないかな・・・。
手持ちのバッグの中を物色しても、それらしいものはない。
むぅ、仕方ない。
こうなったら髪止めのゴムを使うしかないか・・・。
髪をほどいてゴムを抜く。
頬に前髪がかかってうっとおしい。
後ろ髪が背中の汗にさわって気持ち悪い。
なんかヤダなぁ・・・。
そう思って他の代用品がないかバッグの中をぶっしょくする。
お、そーいや手が油だらけだ。
ウェットティッシュを使うか・・・。
フキフキ・・・
フキフキ・・・
よっし、ついでだから意味もなくチャリのグリップやブレーキまわりも拭こう。
フキフキ・・・
さて・・・
それじゃゴミはバッグの中に・・・・・・
・・・・・・ん?まてよ?
このウェットティッシュの長さ・・・形状・・・強度・・・
使えないか?
っていうか使えるんじゃ。
使える!
さっそくやってみよう!
ウェットティッシュを泥除けのネジ穴に通して、自転車本体の方のネジ穴にもそれを通す。
そして縛り付ける。
こぶ結びだ。
取り合えず念のためもう一回。
・・・・・・おおっ!
いいじゃないか!
想像以上にガッチリ固定できてる。
泥除けを力で押してみても、しっかりとティッシュはそれを固定する。
よっし!行ける!行くか!
サドルに乗ろうと思ったけれど、もう一度その応急手当部分を眺めたくなった。
何かイイ。
その場しのぎ感があってイイっていうか、愛社に個性が増えた感じがしてイイっていうか、イイ。
例えるなら傷ついた兵隊が自分で応急手当をして、そして戦場にまた向かってゆくような・・・。
大破した陸戦ガンダムがEZ−8へと変わってゆく様というか・・・
う、美しい・・・。
かわいいぞ我が愛車!
よっし!いくぞ!
・・・っと、ノリノリの気分で熊谷市街を後にした拙者です。
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